FXの手法は、たくさんの種類がありますよね。
短期・長期のトレード期間によるものや、損切・利確ラインを決めてリスクを抑えるもの、チャートの形からエントリータイミングを判断するものなどがありますよね。
世の中には
「この手法は初心者におすすめ」
「この通貨ペアではこの手法が使える」
「相場が安定しない時はこの手法をするべき」
というFXトレードの鉄則があります。
ただし、その通りにしたからといって必ず勝てるわけではありませんし、絶対に負けないということもありません。
それでも多くのトレーダーが実践している手法であるため、やっておいて損はないと思います。
初心者も、あらかじめどんな手法があるのか知っておくと良いでしょう。
今回はそんな手法の中から、「トレール注文」というものを勉強していきます。
逆指値注文のおさらいをしておこう
「トレール注文」は、逆指値注文の応用編のようなものです。
まずは逆指値注文の意味を思い出してみましょう。
損切りや利確のラインを決める時に、逆指値注文を出しますよね。
逆指値注文とは、現在のレートから「ここまで来たら売って(買って)おきたい」というポイントを決めて、注文を出す価格を指定する方法です。
指値注文は「この価格になったら売りたい(買いたい)」というポジティブな考え方ですが、逆指値は予想に反した動きになった時の損失を抑えるために設定します。
例えば「1ドル100円」で買って、チャートから価格が上昇すると予想してみましょう。
指値注文では、「103円になったら決済する(売る)」という設定ができます。
反対に、相場が下落した時のリスクも抑えておきましょう。
「99円になったら決済する(売る)」という設定は、逆指値注文でできます。
1ドル100円が103円まで上昇すれば利確、99円まで下落すれば損切りです。
指値注文と逆指値注文を組み合わせれば、利益はしっかり掴み、損失は最小限に抑えることができますよ。
「トレール注文」とは?相場に合わせて逆指値を変える
逆指値注文について思い出したところで、応用編の「トレール注文」を覚えていきましょう。
トレール注文とは、逆指値注文の設定を相場に合わせて変えていく方法です。
例えば、「1ドル100円」で買い、逆指値注文で99円を設定した時をイメージしてみましょう。
新規注文時、相場は100円、逆指値注文は99円に設定されています。
相場が上昇トレンドにあれば、価格は101円、102円と上がっていきます。
そこで逆指値注文の設定も、相場と同じように少しずつ上げていくのがトレール注文です。
トレール注文を出しておけば、自分で相場を確認して逆指値の値を変えなくても、自動的に相場に合わせた設定をしてくれます。
新規注文時の価格「1ドル100円」に対して、逆指値注文は「1ドル99円」、その差は1円ですよね。
この差を「トレール幅」といいます。
トレール注文を出すと、このトレール幅を保ったまま設定値が上下します。
価格が「1ドル101円」になれば、逆指値は「1ドル100円」。
さらに「1ドル102円」になれば、逆指値は「1ドル101円」と上がっていきます。
これがトレール注文の仕組みです。
トレール注文をしてからの流れをイメージしよう
トレール注文の方法が分かったら、次はどんな風に決済されるか見てみましょう。
先ほどの例と同じように、「1ドル100円」に対してトレール幅1円の逆指値を取ります。
順調に価格が上昇すれば、逆指値注文の価格も上げていきます。
では相場が逆転したら、どうなるでしょうか。
「1ドル100円」の状態から、101円、102円、103円と上昇し、104円まで来たところで103円に下がったとしましょう。
実際の価格が104円に来た時、逆指値注文では103円が設定されているはずですよね。
103円になった時点で決済するように指定されているので、価格が103円になった時、自動的に決済注文が出されます。
その後相場が102円、101円と下がっていったとしても、103円の時点で決済されているので利益は3円、損失は発生しません。
トレール注文をしないとどうなる?
トレール注文は、逆指値注文を応用したものです。
「指値と逆指値を組み合わせているから必要ない」という人もいるかもしれません。
しかし、トレール注文は指値・逆指値両方の良いところ取りができる注文でもあります。
トレール注文では、リスクを抑えつつ確実に利益を取っていくことが可能です。
もし逆指値注文だけだったらどうなるか、考えてみましょう。
例えば「1ドル100円」の時に逆指値99円を設定します。
相場が上昇し、価格が105円まで上がったとしましょう。
しかし、逆指値は99円のまま。
「もっと上がるかも!」と思って放置していたら、数時間後に103円、102円、101円・・・どんどん下がっていきます。
「また上がるかも!」と思って待っていましたが、結局99円まで下落・・・。
逆指値の価格に到達したので、99円で決済されてしまいました。
一時は5円の利益が発生していたのにも関わらず、最終的には1円のマイナスです。
「それ以上損しなくて良かったよ」と思うでしょうか、それとも「あの時決済していれば・・・」と思うでしょうか。
逆指値注文は損失を抑えるためにするものですが、これをトレール注文にしておけば利益を生むこともできるのです。
新規注文でも使える!?指定した価格で注文できる
トレール注文は、決済の時に使えば損切ラインとして役立ちます。
しかし実は、新規注文でもトレール注文を出すことが可能です。
例えば相場が「1ドル100円」の時、新規注文で101円になった時に買うというトレール注文を出してみましょう。
決済の時は「ここまで下がる前に売りたい」という設定でしたが、新規の場合は「ここまで上がる前に買っておきたい」という意味になります。
「1ドル100円」に対して101円の逆指値を設定するので、トレール幅は1円です。
「相場が101円になれば102円に上がった時に買う」
「相場が102円になれば103円に上がった時に買う」
と、相場の動きに合わせて逆指値価格が変化していきます。
この注文では、「1ドル100円」の状態から上昇した時も、一番安い価格で買うことができますね。
指値と逆指値だけではダメ?新規でトレール注文を出す意味
「新規注文では、指値注文だけで十分だろう」と考える人も多いでしょう。
しかし指値注文や逆指値注文では、「いつまでも買えない・・・」ということもあります。
新規注文で買いの場合、指値を設定するということは「もっと安い時に買いたい」という願いを叶えるための注文ですよね。
しかしこれから相場が上がって行けば、いつまでも注文できません。
あなたが待っている間にも、他のトレーダーは利益を上げているかもしれません。
また、価格上昇に備えて逆指値を設定したとしても、相場がそこまで上がらなければ注文が通りませんよね。
逆指値の価格まで上がり、ようやく買えたと思ったらトレンドが逆転、大暴落・・・ということもあり得ます。
相場が停滞すると、指値・逆指値注文は本来の力を発揮できません。
トレール注文なら指値・逆指値の組み合わせよりもさらに細かい価格設定ができるので、小さな価格の変化にも対応できるでしょう。
決済注文も忘れずに!トレール注文をする時の注意点
新規でトレール注文を出せば、できるだけ安く買うことができます。
しかし相場が急変して大暴落すれば、結局は大損に。
トレール注文は、決済に対して設定しておくのが最も有効です。
新規だけでなく、決済でも忘れずに設定しておきましょう。
また、トレール注文は一定の価格帯で上下する「レンジ相場」では機能しません。
設定した価格に達するまでが早すぎるため、結局意味のないところで利確・損切りしてしまいます。
トレール注文はトレンドが起きているときにこそ、真価を発揮するでしょう。
指値注文ではなかなか買えずにイライラ、逆指値注文では思ったような利益が出ないと不満を持っている人もいるでしょう。
そういう時は、トレール注文が有効です。
実際の相場から、どんな値を設定したら良いかについても今後調べていきますね。