スワップポイントって本当に稼げるの?トルコリラから学ぶリスク

  • 12/01/2023
  • FX

通貨ペアの金利差を利息として受け取るスワップポイントは、日をまたいでポジションを保有することで利益になります。
売買で勝つのは難しいけど、ポジションを持っているだけで稼げるのなら誰でもできるというイメージがあるかもしれません。
本当にそうでしょうか。
今回は、スワップポイントを狙う人が考えておくべきリスクについて解説していきましょう。

トルコリラで一攫千金!?現在の状況は・・・

数年前、トルコリラでFXを始める人が急増したことがあります。
2019年4月当時のトルコリラは約20円、スワップポイントは年利20~25%くらいでした。
例えば20万円を1年間預けておけば、4万円くらいの利息はゲットできます。
デイトレードなどのように細かい値動きを見ながら頑張ってトレードしなくても、ただ預けているだけで結構な額の利息がもらえていたんですね。
トルコリラの金利がすごいことになっていると知った人たちは、誰もかれも長期保有に乗り出しました。
極端な話、FXトレードの仕組みが分かっていなくても儲かっている人が多かったと思います。
しかし高すぎる金利は、経済が安定していない国に良くあることです。
特に新興国の場合、通貨のレートも一時的に高くなっている可能性が高いでしょう。
でも実はこれ、長くは続かないことがほとんどなんです。
2023年1月現在のトルコリラは約7円で、金利は9%まで落ち込んでしまいました。
トルコリラブームの時から現在まで、スワップポイントを求めて保有し続けている人はほとんどいないと思いますが(^_^;)
当時トルコリラに全てを賭けてしまった人も少なくなく、バブル崩壊のタイミングで預けていたら大損害だっただろうなと予想できます。

高金利な通貨に要注意!レートが下落する危険性

トルコリラがこれほど人気になったのは、高い金利のせいだったと考えられています。
ところが中東情勢の悪化やトルコの経済政策失敗により、現在まで下落し続けています。
高金利につられてトルコリラに手を出した人も、レートが崩壊すると慌てて売ったことでしょう。
手放すのが早ければ早いほど損害も小さくて済みますが、「また上がるかもしれないし・・・」と踏ん切りがつかなかった人は大変なことになったと思います。
高金利通貨は年利だけで見れば魅力的ですが、レート自体が大きく下落するリスクがあります。
トルコリラのように、たった数年で10円以上も価格が下がればスワップポイント以上の損失が発生する可能性が高くなります。
高金利の通貨を見つけた時は、なぜそんなに高い利率になっているのかを調べる必要があります。
それが一時的なものだと分かれば、うかつに手を出すべきではないと判断できるでしょう。

スワップポイント狙いでも資金管理は必須!

スワップポイントは、ポジションを保有するだけでもらえます。
そのため、「貯金と一緒でしょ」と考える人もいるかもしれません。
売買で儲けようとすると慎重になりますが、ただ預けるだけで良いなら「思い切って全額預けてみよう」と大胆になりがちです。
しかし、スワップポイントだけで稼ごうとする場合でも資金管理が大切なことは変わりません。
どれくらいの資金を持っているか把握できていない、どれくらいの金額を賭けるべきなのか分かっていない人が高金利通貨につぎ込んでしまうと、かなり危険です。
高金利通貨は急な価格変動が起こるリスクをはらんでいるため、一夜にしてロスカットされてしまう可能性だってあります。
これからスワップポイントで稼ごうと思っている人は、売買の時と同じように資金管理を忘れないよう気を付けてくださいね。

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スワップポイント狙いはスキルが身に付かない?

FXは、トレードを繰り返すことで相場を読む感覚や経験が身に付いていきます。
注文を出す回数が多ければ多いほど、トレードの結果から学ぶ機会が与えられているということです。
スワップポイントを狙う場合は、どうしてもトレードの回数が減ってしまいますよね。
保有する日数が多ければ多いほど利息が増えていくため、人によっては年に1回しか注文を出さないことも。
しかしそれではいつまで経ってもトレード経験が増えず、スキルも上達しないと思います。
FXは実際にチャートを見たり、新規注文や決済をしたりを繰り返すことで「そういうことか!」と理解する瞬間があるんですよ。
放っとくだけで勝手にトレードしてくれる自動売買もそうですが、保有で利息を得るスワップトレードだけでは実力が身に付きません。
それだけならまだマシですが、経験がないと損切りのタイミングも掴めないと思うのでレートが下がれば簡単に大負けしてしまいます。
「貯金のように預けているだけで利益になって、売買するよりも安全」とは言い難いのが事実です。

スワップポイントのせいで損するかも!?

先ほどから保有しているだけで利息がもらえると解説していますが、実際のスワップポイントは買った通貨と売った通貨の金利の差です。
例えばアメリカドルを日本円で買う時、次のような金利だった場合をイメージしてみましょう。

①アメリカの金利…1.75%
②日本の金利…0.1%

①-②は1.65%、保有している期間分、日割りで利息が受け取れます。

ただし利息を「受け取れる」のは、この計算の答えがプラスになった場合だけです。
もし日本円をアメリカドルで買ったら、スワップポイントを求めるには②-①の計算をして、答えは-1.65%になりますね。
スワップポイントがマイナスになれば、反対に保有している期間中の利息を「支払う」必要があります。
つまり「高い」金利の通貨で「低い」金利の通貨を買ってしまうと、ポジションを保有するだけで損失が発生することになるのです。
ちなみに「低い」金利の通貨で「高い」金利の通貨を売る時も、同じくマイナススワップポイントとなります。
トレード時の売り・買いの性質の違いもややこしいですが、スワップポイント狙いでもしっかり整理して考えないといけませんね。

急な金利変動に要注意!経済政策をチェック

金利の「高い」「低い」だけ間違えなければ大丈夫というわけではありません。
金利は政策によって変動するため、今まで高金利だった通貨がある日突然低金利に転じてしまうリスクがあります。
トルコリラもそうでしたが、金利の上下関係が逆になってしまっていつの間にか大損失だったということも起こりうるのがスワップトレードです。
ただし、よほどのことがなければ急激に変動しないものなので、政策金利の発表スケジュールに合わせてチェックすれば問題ないとでしょう。
発表頻度の高い国でも月に1回くらいかな?
政策金利はFX会社のサイトでも公開しているので、スワップポイント狙いの人はたまにチェックしておいてくださいね。

大口投資家から狙われているかも!?

スワップポイントを狙った買いポジションが増えると、ファンドなどの機関投資家や大口投資家から狙われやすくなります。
トルコリラブームの時に実際に起こったことですが、個人トレーダーをわざとロスカットさせるために、大口投資家が大量に売ってしまう可能性があります。
そもそもスワップポイント狙いの人はほとんどが長期保有スタイルのため、チャートのチェックが遅れてしまう傾向があるでしょう。
損切りも間に合わず、「朝起きたらロスカットされていた・・・」という人も多いと思います。
スワップポイントで稼ごうとする場合であっても、損切りラインやチャートのチェックは欠かせないものだと肝に銘じておきましょう。

 

一見簡単そうなスワップトレードですが、初心者におすすめ!というものではありません。
やはりトレードの経験を積み重ねていくことに勝るものはないと思います。
スワップポイントを狙いたい場合は、しっかり仕組みを理解してから始めましょう。

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