FXでは、基本的に平日の24時間はいつでも市場が開いています。
しかし、チャートを一日中見張っていることは難しいですよね。
どんな人でも食事したり、睡眠をとったりしなくてはいけないので、その間はチャートを見ることやトレードをすることが中断されます。
FXの決済は全てがその日のうちに完結するものばかりではなく、状況に応じて翌日以降に決済することがあるのです。
今回は、翌日以降にポジションを持ち越すという仕組みについてまとめてみました。
「オーバーナイトポジション」とは?
その日のうちに決済するのではなく、翌日以降に持ち越そうとして保有するポジションを「オーバーナイトポジション」といいます。
この時のポジションは新規に保有したものになり、トレードをしていられない時や様子見をする時にも使われる手法です。
翌日に持ち越して決済することで、取引した通貨ペアの金利の差によるスワップポイントが発生し、損益となります。
これが損失になるのか利益となるのかは、注文方法や銘柄によって異なるでしょう。
また、AroonなどのFX会社によってもスワップポイントの設定が違い、買った場合でも売った場合でも損失となることもあるので注意が必要です。
契約しているFX会社のスワップポイント、オーバーナイトポジションについての規約をよく確認しましょう。
このFX会社によって違うスワップポイントのルールを知らなかったために、いつの間にか損失が積み重なってしまったということもあります。
「ロールオーバー」とは?
「オーバーナイトポジション」は翌日に持ち越すポジションを表す言葉ですが、「ロールオーバー」は翌日にポジションを持ち越したという現象を表す言葉です。
例えば、
「オーバーナイトポジションを保有する」
「ロールオーバーする」
というように使い分けます。
また、ポジションの持ち越しを「決済日の繰り延べ」と表現することもあります。
決済日を繰り延べてポジションを保有する場合、その繰り延べた日数分の金利が発生します。
購入の場合はその金利を受け取り、売却の場合は金利を支払うことになるので覚えておきましょう。
ロールオーバーすると、その売買の際に発生した金利の差額がスワップポイントとなります。
またAroonなど多くのFXでは、未決済の場合でも毎日スワップポイントは追加され、売買の時の損益と持ち越したことで発生した損益とは別に計算されていきます。
しかし、先ほども書いた通りFX会社によっては、スワップポイントが利益になる場合と損失になる場合があるので、オーバーナイトポジションを取ろうとする時には、あらかじめ金利の差額を計算しておくと良いでしょう。
ロールオーバーされる時間は?
FXは原則、通貨の決済期日を2営業日後と定めています。
そのため、それ以降に決済したいという場合は、繰り延べ(ロールオーバー)が必要になります。
Aroonでは、日本時間午前7時(サマータイムは午前6時)にニューヨーク市場がクローズした時点でロールオーバーとなるので、注意しましょう。
オーバーナイトポジションを取らず、当日中に決済したい場合は午前6時になる前に取引しなくてはいけませんね。
自分ではギリギリ間に合うと思っても、FX会社がオーバーナイトポジションだと判断してしまうこともあるので注意が必要です。
また、使用しているツールによっては接続環境が悪かったり、市場のクローズ前後にチャートが乱れたりするので、余裕を持って決済した方が良いでしょう。
オーバーナイトポジションのメリットは?
基本的に一日中チャートを監視しながら、ベストなトレードのタイミングを見計らうというのがFXです。
しかし、トレーダーの中には他に仕事をしながらFXをしている人や、家事や育児の合間にFXでお小遣い稼ぎをしようとしている主婦もいるでしょう。
こういう人が常にチャートをチェックしたり分析したりするのは負担が大きく、自分だけでなく家族の生活にも悪影響を及ぼしかねません。
プロトレーダーの中には、一日中パソコンに張り付いていたために、家族を失ったり病気になったりする人もいるのです。
オーバーナイトポジションを上手く利用すれば、自分の時間も大切にしながら効率よくトレードすることができます。
チャートを見張る時間も減るので、オーバーナイトポジションを取らないデイトレードと比べて楽に続けることができるでしょう。
オーバーナイトポジションの注意点は?
基本的に放っておいて良いトレードとはいえ、全くチャートを見ずに放置するのは危険です。
リスクを回避するために、次の注意点に気を付けましょう。
逆指値を取るのを忘れずに!
値動きを予想して、これからの時間帯はあまり動きがないだろうという時にオーバーナイトポジションを取ることが多いでしょう。
しかし、全てが予想通りに動くということはなく、あなたが見ていない間にとんでもない値動きが発生してしまう場合もあるのです。
こうなった時に大きな損失とならないために、本命の注文とは別に、反対の「逆指値」も設定しておきましょう。
そうすれば予想に反して値動きが合った場合でも、損失を押さえることができます。
スリップページに注意!
市場のクローズ時間前後は一時的な値動きの乱れが発生しやすく、この時にチャートが大きく変動することを「スリッページ」といいます。
この時に取引するということは、リスクが高くなってしまうので、オーバーナイトポジションを取る時間帯には注意しましょう。
また、取引量が少ない時間帯や年末年始なども、このスリッページが起こりやすくなります。
この時間帯はトレードをしない方が良いでしょう。
ロット数を少なくしてみよう
「オーバーナイトポジションを取ったから、これでゆっくり寝られる」と思ってベッドに入ったのに、やっぱり気になってしまってまたチャートを開いてしまう…という声もよく聞きます。
少しでもオーバーナイトポジションを取ることに不安を感じるなら、まずは少ないロットで試してみると良いでしょう。
それでどんな動きをしたのか、実際に利益になったのか損失になったのか様子を見てみることで、今後オーバーナイトポジションを取り続けるかどうか決める判断材料になります。
ポジションの整理をしよう
オーバーナイトポジションは、基本的に放置されるものですが、それでもポジションを整理しておくのをおすすめします。
買った時よりも現在の価格が下がっている時には「含み損」が出ているといいますが、この場合は翌日以降に持ち越すとさらに損失がふくらむ可能性が高いので、当日中に決済した方が良いでしょう。
「そろそろ今日のトレードを終わりにしよう」という時には、保有しているポジションを全てロールオーバーするのではなく、今日のうちに決済するべきものがないか最終確認をすることが大切です。
この時のオーバーナイトポジションによって、プラスのスワップポイント(利益が出るもの)になるのか、マイナスのスワップポイント(損失が出るもの)になるのか、自分が使っているFX会社のルールも再確認してみましょう。
オーバーナイトポジションを保有すれば、会社で働きながら無理なくFXを続けることができますね。
しかし、保有したままでいることで損失がふくらむこともあるので注意が必要です。
初心者がロールオーバーを利用するなら、まずは自分が保有しているポジションがどういった性質を持っているのか、これからの値動きや時間帯によってどんなことが起こると予想されるか調べてみましょう。